匠
2〜3か月に1度散髪しないでいると、ソワソワしてくる。
そして切ると決まれば、ショートカット、その中でもベリーショートにしたくなる体質。
しかし、新たな自分を発見したいという思いと、小さい師匠と生活しているのであまり頻繁にお手入れに行けないという理由から、しばらく後ろの髪はのばすことに。そこで、ばらんばらんになった前髪だけ美容師さんに整えてもらうことにした。
師匠にごはんを差し上げてご機嫌になったところで旦那氏に託し、バスへ飛び乗る。
いつもお世話になっている美容室は、ガラス窓が広くて、通りを見渡せる気持ちのよい所。すてきな年上の女性の美容師さんは、育児のことや音楽のことを話しながらあっという間に前髪を整え、目にも止まらぬ速さでゆるい編み込みのポニーテールを結んでくれた。
「前髪を切った」
言葉にすれば簡単だけど、心持ちはがらりと変わった。
かつて、スターウォーズを観た後映画館を出ると、自分も何だかジェダイになった様に胸を張って、街を歩いてしまった時に似ている。背筋がすっと伸びて、心身ともに健康になったようだ。
美容師さんの、本当に「良い仕事」に胸いっぱいになり、その余韻に浸りながら、いそぎ足で用事をすませて、わっさわっさと帰途についたのだった。
by neconote25
| 2016-11-04 23:55